宅地用・定期借地権設定契約書のポイント解説

宅地用定期借地権設定契約書作成のポイントを解説します。

1、ポイント―賃貸期間50年以上の定期借地権
存続期間が、50年以上の契約に限ってその存続期間限りでの契約を終わらせること(借地を地主に返させる)を内容とした、住宅用建物所有の借地権です。
これは、非常に長い期間の賃貸借契約ですので、更新しないこと、建物再建による期間延長や建物買取請求権を行使しないという特約が認められています。
旧借地法では無効だったものが、新法では書面契約を条件に効力を認められる特約となりました。
たとえば「本契約の存続期間は、平成○年○月○日から向こう50年とする。
本契約は更新しない。右存続期間中に建物の滅失ないし取壊しにより新たな建物を築造する場合にも第○条の存続期間は延長しないこととする」とします。

この定期借地権設定契約書も「公正証書による等書面」にしなければなりません。事業用定期借地権と異なり、必ず公正証書にしなければならないわけではありませんが、公正証書にした方が安心です。

2、ポイント―価格面で建売分譲に有利
分譲価格を土地所有権付住宅より低額に抑えることができるため、建売分譲業者により利用されています。
不況のため、分譲価格を低く抑えたいという分譲業者の要望に合致するところがあります。
地主にとっても、土地を売却せず将来50年以上、地代収入が得られ、かつ期間が満了すれば、土地を返してもらえるという定期借地権は有利です。
ただし、50年以上の長期契約なので極力諸条件を明確にする必要があります。

3、ポイント―老後に備えて
50年後年老いてから借地期限が切れて追い出されるという不安を除いた定期借地権もあります。
50年後の期間満了後は、物権の初代購入者及びその配偶者に限って賃貸住宅として新たに契約を結んで借家人として、永住するというタイプのものです。
たとえば「平成○年○月○日本契約の定期借地権の期間が満了する日の6か月以上前までに後記土地上の建物を甲に譲渡し、同建物の賃借人として乙が死亡するときまで、同建物に居住することを甲に申し出ることができる。前項による乙の申出があった場合には甲乙間において建物賃貸借契約を締結するものとする」とします。

4、ポイント―借地権期間延長による生涯型の契約
たとえば「前項の賃貸借の期間は更新しないものとする。但し、借家人乙において前項の期間満了前6か月前までに、甲に対し、乙本人が同人の生存中に限り、後記土地の使用継続を内容証明郵便等の確定日付のある文書により請求したときは、乙の生存中に限って、本契約の定期賃貸借の期間を延長するものとする」とします。

なお、土地の賃借人は自分が死んだ場合、残った妻の生存中は定期借地権を延長してもらいたいと希望するケースが多いと思われます。この場合、配偶者の生存中は土地の賃貸借を延長するという規定では、地主側にとって不利な場合(若い人と再婚した場合)もありますので、配偶者の氏名、生年月日を特定して個人の生存中に限るという規定にしておく必要があります。